原作を読み始めたのが早かったわりに,ベルばらの「ばら」が,オスカル(白ばら)とアントワネット(紅ばら)のことだと知ったのは,だいぶ後になってからのこと。

うちの御贔屓は,入り・出のほんわかした白いムードと,舞台の黒さのギャップにハマったので,舞台でこんな「可憐な白ばら」を演じられる人とは思っていませんでした。どんなに演出さんが頑張っても,肩幅だけはごまかせないので,可憐という言葉に?って思う方もあるでしょうが,あの線の細さは,「可憐」と形容したいのです。

「王宮の飾り人形」って言葉が,誉め言葉に聞こえるほど,ビジュアル完璧。赤い軍服も,白い軍服も,水色の軍服も。お持ち帰りして,飾りたいぐらい綺麗ですよ,ホントに。

そんな,オスカル様についてひたすら語ります。

原作を読んだとき,フェルゼン,アントワネット,オスカルの中で一番理解しがたかったのが,オスカル。
「いくらでも昇進させてあげるわ」っていう王妃の誘いを断ったり,花形の職場である近衛隊から転職したり,女装?いや,ドレス姿でいきなり舞踏会に行ったり,お酒飲んで喧嘩したり,貴族なのに,革命に加わったり。
きゃーきゃーお取り巻きがいたのも謎。

今回の,星組の舞台で,御贔屓のオスカルを見て,彼女の生き方が,納得できたし,すごくステキだと思いました。

オスカルは,男であるとか,女であるとか,貴族であるとか,平民であるとか,そういう次元を越えて,「フランス人」として,祖国フランスをこよなく愛している。
このことを,強く感じました。

王宮警護が主な任務の近衛隊の隊長でありながら,
「フランスを守る軍人です」
という言葉が出てくる。

人として生きるのも,祖国フランスのためだから,自分のしていることが,国全体のためになっているのか,今後,国民の幸せのために,国家はどうあるべきか,ものすごく大きな視点でものごとを見ている。

フェルゼンはスウェーデン人だし,アントワネットは,オーストリア人なので,フランス人って,オスカルだけなんですね。
だから,フェルゼンが,フランスの未来より,自分と,アントワネットの幸せを考えていても,当然なんだけど,相対的に,オスカルがステキに見えるんですね。自分の恋とか,地位とか,そんなことよりも,時代の流れを見て,国家の将来を憂いている。
人としては,フェルゼンみたいなのが普通ですよ。
架空の人物だからこそ,理想が追求できたわけです。

あと,「仕事=お金のために時間を切り売り」という発想ではなく,自分の仕事が,フランスの役に立っているのかを真剣に考えているところも,現実にはあり得ないステキさ。

軍人として,一応,世間も見ていて,私利私欲よりも愛国心を優先するオスカルのような人が,いつまで経っても留学生(貴族だから,働かなくても普通なのかな)で,自分の恋のことしか考えないフェルゼンのどこに恋したのかがちょっと謎。

いろいろな愛を知って,フランスを去る決意をした1幕最後のフェルゼンはステキですが,そこに至る過程が・・
1幕が始まって早々,オスカルにひどいこと,言ってますよ。

フェルゼンになじられて,ハートブレイクしている御贔屓オスカルは,胸キュンという感じで,好きなんですが。

とっても2枚目のフェルゼンなので,舞踊会で一目惚れ?
ビジュアルに惚れたということで・・。

原作では,オスカルはフェルゼンを「若造」呼ばわりしていますが・・。

横道にそれましたが,革命の話。
アントワネットを裏切る形で革命に加わるのが,どうしても納得できなかった原作。だってあんなに大事にされていたんですよ!

「王妃様,とうとうあなた様を裏切ってしまいました」
の御贔屓オスカルの一言で,許せてしまった自分(笑)

で,ジェローデルの親切な解説で,平民との摩擦を減らすことで,最悪の衝突を避け,国王一家を救おうとしたことがわかり,あくまで白い,理想のキャラとしてのオスカルを理解できたのでした。

オスカルの父のジャルジェ将軍は,口には出さなくても,「オスカルのことがかわいい」っていうオーラが出ていて良いですね〜。

「私が間違っていたのか」

という台詞に,王家を守るジャルジェ家の務めも大切だけれど,娘の幸せも大切に思っている気持ちが出ていると思います。

オスカルは,貴族ばかり優遇される国のあり方に疑問を持ったり,女性なのに,男性として育てられた故の悩みがあったり,いろんな壁にぶつかっているのだけれど,ひねたり,切れたりすることなく,真っ直ぐな心で,きちんと問題と向き合って,自分なりの解決をしていく,しなやかな強さというか,健全な精神の持ち主だと思います。これは,家族や,アンドレなど,たくさんの愛に包まれて育ったからなんだな,とジャルジェ将軍やアンドレを見ていて思いました。

ルドルフも,反王政という立場で,かつ,「死」という結末はオスカルと一緒ですよね。
でも,彼は,両親に見捨てられて,志なかばで,自ら,命を絶ちます。彼は,愛に飢えて,アンバランスな精神状態だったと思います。

オスカルは,自らの信念を貫き通し,革命の花と散りました。愛に包まれて育ったから,自分の足でしっかりと歩いて行くバランス感覚とか,強さがあったのではないかと。

ルドルフの最期は,やりきれないものがあったのですが,オスカルの方は,何だか発散できます。

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