星組「ベルサイユのばら」感想2

御贔屓の台詞の言い回し，イントネーション，ため方，トーン，すべてが，ツボでした。さすがベルばらの申し子というか（笑）。それはおいといて，ほんとに，原作のオスカルが，漫画から抜け出てきたら，こんな人なんだろうな，というオスカルでした。
最初の登場から泣きそうでした。
すごく，声の耳心地が良いのです。

男らしさと，女らしさのバランスも良かった。
彼女の得意とする，男装で女心を語る姿に激しく共感。
フローレンスのときも，綺麗だな，と思ったけれど，女性として憧れる，というところまではいかなかった。
御贔屓のオスカルは，女性として憧れる。感情移入できる。

バスティーユで，ブイエ将軍に剣を向ける場面，剣を構えた後ろ姿が，何とも絵になっています。ほっそりとして，敏捷な身のこなし。軍神マルスの申し子。

アンドレの死後，メラメラ炎が燃えるスクリーンの前で，1人，舞台に立っている御贔屓を観たときは，感動の嵐。
大劇場の舞台に，1人で立っているよ。
オスカル様だよ。

作品そのものの感想に入ります。
いつも疑問だった，モンゼット夫人の場面。
なんか，キャーキャーいって，駄洒落をかまして，こういう場面をやる必要，あるのかな，と思っていましたよ，正直なところ。

御贔屓オスカルとなると，この場面も

なるほど

と納得。

だって，格好良いんですもの。お取り巻きがいても全然不思議じゃないですよ。ミーハーに騒ぐ貴婦人たちの中で，キッと立っている姿も，凛々しいです。

オスカルやフェルゼンが，いかに格好良いか，フランス宮廷に，いかに華を添えているかを間接的に（笑）表現しているわけですね。

オスカルが，衛兵隊に転出するというので，嘆いている場面も，納得。
いなくなったら，寂しいよね。

つまり，オスカルやフェルゼンのファンの心理を投影した場面なわけですね。今まで，御贔屓がオスカルとかフェルゼンって，なかったから，理解できなかったわけで。

あと，浮かれ騒いでいるアホ貴族と，フランスの未来を見つめているオスカルの対比が良いです。

あと，全体的な構成は，まあまあ上手くいってたと思います。2回ほど時間を遡るわけですが，無理なくつながっています。
原作を知らない人には，ちょっときついかも。フェルゼンとアントワネット以外のエピソードは，適当に切り貼りされて，ちょっと意味不明なところもあるから。

まあ，歌舞伎一八番みたいなものですから。
やれここが矛盾しているとか，細かいことにこだわらず，場面のひとつひとつ，名台詞のひとつひとつを楽しんだらいいんじゃないでしょうか。