えっと,今回の全ツは,わりと地元にも来たにもかかわらず,諸事情により,不参加でした。
でも,ベルばらは,原作からの思い入れのある作品。皆さんのブログで盛り上がっている書き込みをいろいろ読んで,なんか,語りたくなってしまいました。

今回,250周年にもかかわらず,ずいぶんな描かれ方をしているらしいアントワネット。
私は,原作を読んだときから,断然,アントワネット擁護派です。だって,由緒正しい家柄の美人が,野蛮な民衆によって,断頭台にかけられちゃうんですよ。彼女の浪費が,財政破綻のほんの一部にはなったかもしれないけれど,根本的原因は,ベルサイユ建造にはじまる,歴代王の浪費。デュ・バリーの浪費のツケを,何故彼女が払わなければならないのでしょうか。

王妃としていかがなものかと思う,「パンがないなら,お菓子を食べれば」発言も,仕方がない。
「パンがない」とだけ言われて,生活必需品であるパンさえもないのだから,砂糖やバターをふんだんに使った贅沢品であるお菓子など,あるはずもない,ということは,教育とか,社会的経験を積んだ大人だからわかること。ま,経験と想像力ですね。
「ごはんがない」と言われたら,「じゃあ,お菓子を食べれば?」というのは,ごく素直な反応なんですよ。
アントワネットの境遇をみると,14歳まで,名門ハプスブルグの箱入り。嫁いだ先には,アントワネットをまともに教育できる人はいない。夫の両親は他界しており,目上の人といえば,義理の祖父にあたる,15世。愛人にうつつを抜かしているおじいちゃんで,若い人の教育に適した年齢でない。義理の伯母は,ちやほやして,利用するだけ。
これで,大人になれってのが無理でしょうね。

たった14歳の女の子が,「ベルサイユで一番身分が高い女性はあなたです」と言われて,舞い上がるなってのが無理ですね。

想像してみましょう。毎公演,大劇場3列目センターに,自分専用の席が用意されていて,宝塚ホテルのスイートも年間契約で確保されていて,クローゼットにはキレイな服や靴がいっぱいあって,食事代とかの,心配もなくて,毎日,劇場に行けるとします。それで,学校に行けとか,勉強しろとか言われて,しますか?私はしませんよ,劇場に入り浸ります。

アントワネットの方からしか話しかけれないというしきたりも問題。
自分にとって耳ざわりの良いことをいってくれる人にしか話しかけなくなるのが当たり前。

だからね,アントワネットは,可哀想な被害者なんですよ。

という,アントワネット擁護派の私にとっても,謎だったのが,オスカルに対する,アントワネットの逆切れ(原作にもこの場面があるんです。あなたには女の心がわからない,云々。今回の全ツと,どの程度差があるのかわかりませんけど)

オスカルは良い人で,忠告してくれているのに,何でこうなるのー?って思っていました。でもね,今は,よーくわかりますよ。

自分を可哀想だと思っている人
自分を被害者だと思っている人
は,

無敵

です。
えー,自分は,被害者で可哀想なので,何か不都合が起きても,それはみんな,他人のせい。自分がこんなになったのだって,もとをただせば世間が悪い!

という思考の流れなのですよ。
これはこれで,ひとつのキャラとして,成り立っています(宝塚のヒロインとして,良い悪いは別として)。

小学校低学年で読み始めたので,あのアントワネットの態度,意味不明だったんですよね。自分は被害者とか,自分はかわいそうなんて,思ったことなかったから。今はよくわかります。
ベルばらって,奥が深いわ。

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